投稿:2022/12/30

ゲノム医療が進展するなかで、遺伝情報・ゲノム情報による差別防止のための法整備は道半ばです。

令和4年春に日本医学会と日本医師会は合同で記者会見し、「遺伝情報・ゲノム情報による不当な差別や社会的不利益の防止」についての共同声明を発表しています。内容は、さまざまな疾患を対象に遺伝学検査やゲノム解析が進められている一方で、ゲノム情報、遺伝情報により本人や血縁者にとって不当な差別を防止するために、早急に法整備を要求する内容です。
(日医オンライン:遺伝情報・ゲノム情報による不当な差別や社会的不利益の防止」についての共同声明を公表)

令和4年5月には生命保険協会と日本損害保険協会は、生命保険や損害保険での遺伝情報の取扱を、加盟各社に確認をしたうえで、医療従事者に向けて現状を説明する文書を公開しています。
内容は保険に加入するとき、そして支払い請求をするときに、遺伝学的検査の結果(発症前検査と確定診断の検査の両方とも)を収集したり利用したりせず、医療機関から提出されたカルテの記録などに記載されている、遺伝学的検査結果、病名、家族の病歴なども使わない、研究として行われた解析結果も使わない、と宣言しています。
(一般社団法人 日本生命保険協会:生命保険の引受・支払実務における遺伝情報の取扱について)

『ゲノム医療施策の推進とゲノム情報保護に関する法案』の成立にむけて要望活動を継続

すでに欧米で制定されている遺伝情報差別禁止法について、日本では成立が遅れています。そこで、超党派「適切な遺伝医療を進めるための社会的環境の整備を目指す議員連盟」は「良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするための施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律」大綱を取りまとめ、令和4年12月、第210回国会(臨時会)での成立目指していました。JHDNも他患者団体、学術団体や産業関連団体と共に国会議員に要望書を提出してまいりました。残念ながら成立には至りませんでしたが、次期国会での成立にむけて引き続き要望をしていきます。